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味噌と食中毒~今が一番危ない食中毒~

いつもホームページをご覧いただき誠にありがとうございます。
毎回色々なテーマでお届けしておりますが、今回は食中毒についてお話していきたいと思います。なぜ今?と思われている方も多いかもしれませんが今が一番危険な時期なんです。
真夏は食品の管理に皆さん大変気をつけているのですが、湿度が高いこの季候で食品の管理が不十分だと大変なことになってしまいます。
コロナ渦でおうち時間を楽しむための作り置きなんかも多い今、知っておいて頂きたいテーマです。
そして、みそ屋としてはみその神秘の力にも触れたいところ・・・実は味噌で食中毒は起こったことないって知ってますか・・・?そこのところについてもお話していきたいと思います。

食中毒とは

食中毒とは食品に起因する胃腸炎・神経障害などの中毒症の総称と定義され、急性の胃腸障害(嘔吐、腹痛、下痢などの症状)が起こることがほとんどです。
暴飲暴食でも同様に胃腸障害が見られますが、こちらは食中毒とは言いません。食中毒とは有害な微生物や化学物質を含む飲食物を食べた結果生じる健康障害のことを指します。

食中毒の種類と原因

食中毒には「細菌性」、「ウイルス性」や「寄生虫」に由来するもの、「化学性」、「自然毒」に由来するものなど様々な原因があります。
大まかに表にすると以下の様になります

食中毒 細菌性食中毒 感染型 サルモネラ属菌、腸炎ビブリオ、病原大腸菌、ウェルシュ菌、カンピロバクター・ジェジュニ / コリ など
毒素型 黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、セレウス菌(嘔吐型)など
ウイルス性食中毒 ノロウイルス、A型肝炎ウィルス など
寄生虫食中毒 アニサキス、クリプトスポリジウム、クドア、サルコシスティス など
化学性食中毒 水銀、ヒ素、ヒスタミン など
自然毒食中毒 動物性 ふぐ毒、貝毒 など
植物性 毒キノコ、ジャガイモの芽 など

細菌性食中毒について

細菌性食中毒には先の表のとおり「感染型」と「毒素型」があるのですがこれは発症の仕方に違いがあります。「感染型」というのは、皆さんがよく知っている食中毒の発症原因で、一定菌数以上に原因菌が増殖した食品を食べて、腸管内で感染することによって発症します。このタイプの食中毒は食品の保存や加熱に注意すれば防げる場合が多い食中毒です。次に「毒素型」というのは、食品内で増殖した原因菌が産生した毒素を摂取することにより発生します。「毒素型」の食中毒の原因である毒素は熱に強い成分であることが多く、十分な加熱を行っていても防ぐことが難しい為、注意が必要です。

MEMO
一昔前までカレーは食中毒とは無縁な食品と思われている時期がありました。今でもそういった感覚をお持ちの方もおられます。これはカレーが長時間加熱されていることに加え、たくさんのスパイスを使っていることからきています。しかし、カレーによる食中毒の事例は昔からあるんです。これは、加熱を生き延びる事の出来る「ウェルシュ菌」が原因です。実はこの菌、熱に強い「芽胞」という形態になることができる菌なんです。もちろん数匹のウェルシュ菌がいたって、出来立ての時には何の問題も無いのですが、鍋にそのまま放置してしまうと適温(12~50℃ぐらい)になった時爆発的に増えます。菌が爆発的に増えた状態のカレーを温めて口にしてしまうと食中毒を引き起こしてしまうのです。最近はウェルシュ菌による食中毒への認知も進んでいますが、保存は鍋ごとではなく、粗熱を取って、保存袋に入れ平たくして急速冷凍してください。その際はジャガイモは風味が変わってしまうので取り除いて保存するのがおすすめです。

ウイルス性食中毒とは

ウイルスを原因とする食中毒のほとんどが冬場によく聞かれるノロウイルスが原因によるものです。ノロウイルスは食中毒と感染症を両方引き起こし、汚染された食品だけでなく、感染したヒトの手指などを介して食品に付着する二次感染が増えています。

寄生虫による食中毒について

食品に寄生する寄生虫が原因で起こる食中毒で、有名なのが生魚に寄生するアニサキスによるものです。近年増加傾向にあります。これは生魚を食べる事によって起こります。冷凍されていたり、良く加熱されている場合は問題ありません。生魚を食べる以上起こりえるリスクではありますが、提供側の十分な下処理や、よく噛んで食べるという事でもリスクを下げる事が出来ます。(寄生虫は目視できるものも・・・)

化学性食中毒

食品に含まれる化学物質によって引き起こされる食中毒で、最近では傷ついた水筒にスポーツ飲料を入れる事による重金属食中毒や赤身魚に多く含まれるヒスタミンが原因のヒスタミン中毒が良く知られています。
どちらも最近増えた感じがしますがスポーツ飲料の携帯が最近多くなっているだけで銅による中毒も、アレルギーと間違えられることもあるヒスタミンによる中毒も昔からありました。化学性食中毒は他の食中毒と比べれば、私たちの正しい理解と行動で回避することが出来ます。知るということが一番の予防とも言えますね。

スポーツドリンクによる食中毒
近年猛暑が多くなり、熱中食対策にスポーツ飲料を持参する事も増えてきました。このようなスポーツ飲料(酸性の飲み物)をヤカンや水筒に保管することによって金属(主に銅)が溶け出し、スポーツ飲料と一緒に金属を多量に摂取してしまうことが原因でスポーツドリンクによる食中毒が起こっています。水筒の内部の損傷に注意するとともに、スポーツ飲料に限らずオレンジジュースや乳酸菌飲料といった酸性の飲み物の携帯時には変色(銅が原因なら青緑色)や味の変化などがないか十分に注意しましょう。そして対応していない水筒には入れないようにしてください。
ヒスタミン中毒
ヒスタミン中毒は赤身魚に多く含まれるヒスチジンというアミノ酸を魚に付着しているヒスタミン産生菌がヒスタミンを生成させ、それを大量に摂取することにより引き起こされます。主にヒスチジンを多く含むアジ、カツオ、イワシ、マグロ、カジキ、ブリといった赤身魚の保存状態が悪い事が原因です。ヒスタミン自体は私たちの体内も存在しているもので、生体の生理行動に作用して体の働きを調整する化学物質です。体内の炎症、アレルギー反応、胃酸分泌、神経伝達に関与しています。このヒスタミンはアレルギー物質に対して過剰に放出されると体内で炎症反応が起こり、反応部位により気道閉寒、浮腫、蕁麻疹、発赤、かゆみ、くしゃみ等のアレルギー反応を引き起こします。その為、症状は食物アレルギーと類似しています。ヒスタミン産生菌は海水に浮遊している為、鮮魚の管理、取り扱いに注意が必要です。

自然毒食中毒とは


自然毒にも色々なものがあり、ふぐ毒の様な「動物性」のものと、毒キノコやジャガイモの芽、最近では水仙の誤食といった「植物性」のものが原因のものがあります。どちらの場合も原因物質は熱に強いものが多く、摂取することが無いよう十分な注意が必要です。

ジャガイモによる食中毒
昔からジャガイモによる食中毒というのはよく聞きますよね。
学校での調理実習にも出てくるジャガイモは芽を取るように指導されます。これはジャガイモの芽の付近にはソラニンというアルカロイド系の有害成分が含まれているからなんです。
このアルカロイド系の有害成分は嘔吐や下痢、意識障害などを引き起こし最悪の場合死に至る事もあります。症状は早ければ数分後から出始めます。
中毒量は体重50㎏の大人の場合で50㎎、子供に至っては15~40㎎とされています。通常のジャガイモ100gあたり平均7.5㎎含まれており、そのほとんどは皮の周辺にあります。
光に当たり、緑色に変色したジャガイモの場合は100mg以上含まれているとも言われています。ですので緑に変色したジャガイモは少しでも食中毒になってしまう可能性があります。
この、有害成分であるソラニンは加熱によって分解されたり、お湯に溶けだしたりしない為食べない事が最大の予防になります。
保管は暗くて涼しい所で、早めに食べる。(増やさない)調理の際にはきちんと芽を取り、厚めに皮を剥いてください。(取り除く)正しい保管と調理で美味しい料理を楽しんで頂きたいと思います。

食中毒を防ぐには

食中毒が起こるのは次の様なサイクルがあります。

図の様なサイクルによって主な食中毒は起こっています。言い換えれば、このサイクルをどこかで食い止める事が出来れば、食中毒を防ぐことが出来ます。その為には次の3つに気をつけると良いと言われています。

  1. 菌をつけない
  2. 菌を増やさない
  3. 菌をやっつける
1つ目の菌をつけないというのは食品に菌をつけないよう清潔に心掛けるという事です。具体的には調理を担当する人の手洗いや、調理器具の洗浄などを徹底することです。

2つ目に菌を増やさない為に、食品の迅速な調理・提供と冷却を心掛けるという事です。具体的な対策としては食品の鮮度が落ちないよう適当な環境で保管したり、出来立ての料理を早く提供、もしくは早急に冷却し保管することです。

3つ目の菌をやっつけるというのは、食材の加熱を十分に行うという事で、食品の中心部が75℃で1分間以上(ノロウイルス対策には85~90℃で90秒間以上)加熱することが大切です。

基本的には上述の3項目を守れば、食中毒を防ぐことができますが、ノロウイルスやO-157に代表される腸管出血性大腸菌による食中毒や化学性食中毒、自然毒による場合は、加熱などの対策は、効果がない為、体内に取り込まないことが最も重要で、食材の管理に対する正しい知識が必要です。

味噌と食中毒のお話

実は長い歴史の中で、味噌から食中毒が発生したことはありません。味噌に対する科学的な検証は十分であるとはいいがたいですが、実際に味噌の中に食中毒菌を加えても増殖しない事が確認されています。
この理由に関しては、諸説ありますが、味噌の中には材料として入れた麹菌以外にも作業の中で取り込まれた酵母菌や乳酸菌が存在し、その影響が大きいのではないかと考えられています。味噌には食中毒菌が増殖しずらい高濃度の塩分が含まれており、水分活性(菌が自由に使える水分の量)も少ないですし、麹も酵母も、乳酸菌も酵素を作り出します。この環境が相まって食中毒菌の増殖を抑えていると考えられています。
増殖を抑える事が出来れば、おのずと毒素などの有害な物質も増えません。このことが味噌から食中毒が発生しない要因と言えそうです。保存方法がまだなかった時代、安全に長く、美味しく食べられるように工夫されてきた発酵食品の「味噌」。安全に食べられる味噌汁は天然の栄養補給剤として病後の回復の助けになる私たちの強い味方ですね。

低温調理について
最近人気の低温調理、専用の調理器具も販売されていますね。低温でじっくり調理することで素材の旨味を引き出す調理法ですが、自己流では手順が曖昧になり食中毒を起こす事が多いんです。
まず一番のポイントが低温と言われる温度です。食中毒菌のほとんどは40~55℃ぐらいで最も爆発的に増えます。菌が付着したままでこの温度で保温してしまうと爆発的に増えて食中毒を起こしてしまいます。このことを防ぐためにも保温温度が低くなりすぎないように注意してください。(保温温度が低く設定しないといけない場合は食材の鮮度、調理器具の洗浄などに十分に気をつけてください。)また基本として食材に菌をつけない事も大前提!鮮度や調理器具の消毒などが大事です。当社が公開しているレシピの中に「ローストビーフ」がありますがこれは炊飯器で低温調理しています。ですが、肉の表面にしっかり焼き色を付け、すぐに密閉して、熱湯を入れて保温します。(70℃~75℃はキープされています)この工程を確実に行う事で食中毒は防げます。最近は独自にレシピを作っている方も多いと思いますが、食材の鮮度や調理器具の消毒、保温温度や時間など十分に確認して楽しんで頂けたらと思います。

レシピが気になる方はこちらの記事も参考にしてください。
【レシピ】塩麹deローストビーフ~クリスマス特別メニュー~

最後に

食中毒というのは私たちのすぐそばにある危機です。ちょっとした不注意で引き起こされる事がほとんどなんです。ジャガイモの芽に含まれるソラニンによる食中毒は誰しも知っている食中毒ですが、毎年発生しています。
また、山菜やきのこなどの野生植物による食中毒も多発しています。こういった野生の植物は見分ける事が難しく、熟練した知識と経験を必要とします。
更に近年はスポーツ飲料を水筒などに保管携帯することによる銅の過剰摂取による食中毒も多く報告されています。これは近年の気候の変化により増えてきた事例ですが、昔から銅鍋や真鍮鍋に料理を長時間保存した物を食べる事でも同様の食中毒が起こっていました。

一般的な菌が原因で起こる食中毒は、技術の進歩により減少傾向ですが、その代わり、容易に予防できず、命に係わるものが増えてきました。インターネットの復旧で多くの知識を得られるようになりましたが、食中毒で命を落とす人も毎年出ています。正しい知識と行動で皆様の健康を守る助けになれば幸いです。

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