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みそと生みそ 発酵食品が腸内環境に与える影響とは

岡山県は備前市のみそ屋、馬場商店です。

昨今、「生〇〇」なんてよく聞きますが、当社にも「生みそを扱っていないか?」といった問い合わせが良くあるのですが、意外と生と普通の味噌との違いはよく分からないもので、みなさまの疑問に答えるべく、生みその定義から発酵食品についてお伝えしていきたいと思います。

みそと生みその定義

みそと生みそは成分的には違いがありません。もちろん吸収される栄養成分にも違いがありません。当社のみそで、線引きすると定義は以下の様になります。

  • 生みそ:酒精添加・湯煎処理をしていないみそ(当社工場内で管理されているパッケージ前のみそ)
  • みそ:商品としてパッケージされたみそ(酒精添加もしくは湯煎済み)
当社で製造している味噌は裏の表示を見て頂いても分かるように大変シンプルで、添加物と呼ばれるものは酒精(食品用アルコール)ぐらいしかありません。
この量も賞味期限内に品質を維持できるであろう最低限の量しか加えていません。栄養成分的には生と何ら変わりはありません。
商品裏ラベル
商品の裏ラベル画像

ではなぜ生みそを欲しがるお客様がいるのでしょうか?

はじめにこの問い合わせを頂いた時には、みそ屋的には「通」のお客様で「こだわりのある小料理屋さんからのお問い合わせかなぁ~?味の分かる人なんだなぁ~。」なんて思っていましたが、長らくお話を伺っていると「生きた菌が腸に届いて・・・」や「添加物の無いものが・・・」とおしゃる方がほとんどでした。酒精に関しては添加量が最小の量と言ってもやはり、長期間、味噌の品質を守っているのです。アルコール臭というものがします。そうすると、本来の味噌の香を少なからず邪魔してしまいます。
人の味覚は香りや舌ざわり色などからも影響を受けます。味にこだわる「通」の方には邪魔なものなんです。

ただ「生きた菌が腸に・・・」というのはどうにもよく分からなかったのですが、最近「生きて腸まで届く・・・」なんて宣伝文句の発酵食品がありますよね。このイメージから来ているのではないかと思います。
このことについて、詳しく説明していきたいと思います。

生きたまま腸に届く菌とは

まず、はじめに知っていただきたいことは、本来の菌には生きたまま腸に届く菌は多くはないということです。一部植物に由来する菌などを除くとほとんどの菌は腸まで届くことはありません。なぜならヒトには最強の消化酵素「胃酸」が分泌される胃があり、ほとんどの菌は胃酸で消化されるのでここを通過できる菌というのはあまり多くありません。

MEMO
かつて「胃の中には菌が生育できない」という説が有力だった為、胃潰瘍の主な原因菌である、ピロリ菌が発見されたのはごく最近の事(1979年)。この発見によりピロリ菌の研究が進み、除菌による病気の予防治療も行われるようになりました。

では「生きたまま腸に届く菌」というのはどういった菌なのでしょうか。分かりやすい菌で言うと、一部植物に由来する菌を代表する「納豆菌」です。納豆菌は非常に強い菌で、体内のどの消化酵素もくぐり抜けて腸まで届きます。そしてあの特徴的なネバネバで腸内の善玉菌を増やす手助けをしてくれるのです。

MEMO
体に良いとされる納豆ですが麹を扱うみそ屋や酒屋にとって納豆菌は困った菌なんです。菌の力が強いので麹の中に一度混ざってしまうと、麹やその発酵食品をダメにしてしまいます。ですので、どんなに納豆が大好きでも麹に携わる人は食べられないんです。
さて、このほかに生きたまま腸に届く・・・と広告されている菌は、植物由来の乳酸菌やヒト由来のビフィズス菌などに代表される菌です。植物由来の乳酸菌は生育条件が悪くても発育できる強い菌種があり、酸にも比較的耐性があります。その他には人工的に表面をコーティングして胃酸をくぐり抜けられるようにしている菌もあります。
  1. 一部植物に由来する菌
    例)納豆菌 乳酸菌(ロイテリ菌など)
  2. ヒト由来の善玉菌
    例)ビフィズス菌
  3. 人工的な加工をされた菌

生きたまま腸に届く菌と届かない菌の働き

こうしてみると体に良い、生きたまま腸に届く菌を摂るために、限られた製品を食べるしか無いように思いますが、生きたまま腸に届く菌も、届かない菌にも、そろぞれ腸内環境を良くする働きがあるんです。これが発酵食品が体に良いと言われることにつながっています。

生きたまま腸に届く菌の働き

生きたまま腸に届く菌の働きの事をプロバイオテクスと言い、その効果には次のようなものがあげられます。

  1. 整腸作用
  2. アレルギーに対する効果
  3. コレステロール低減効果
  4. 産生物質による効果
これらの効果の多くは生きて腸まで届きその場で体に良い物質を作り出すことにより効果を発揮します。代表的なものがビフィズス菌で、酢酸や乳酸を産生し、腸内環境を整えたり(悪玉菌は酸性環境に弱い)、腸内で優位になることによりアレルギー反応の抑制に関与したり、コレステロールを腸内で吸収しにくい物質に変化させたりしています。その他にも、乳酸菌や酪酸菌、納豆菌、糖化菌なども同様に腸内で働き、善玉菌の働きを助けます。これらの働きにより、腸内環境を良好にし、免疫力を高めたり、老廃物を排出量して綺麗で健康的な体になれるのです。

プロバイオテクスとは英国の微生物学者フラー(Fuller)博士により、「腸内フローラのバランスを改善することをによって宿主の健康に好影響を与える生きた微生物」(1989)と定義されたもの。

生きたまま腸に届かない菌の働き

それでは、ヒトの消化器官などに影響を受け、生きて腸まで届かなかった菌はどうなのでしょう?もう何の役割もしてくれないのでしょうか?
もちろんそんなことはありません。はじめにお話しした通り、生きたまま腸に届く菌は種類が限られています。発酵食品に用いられるほとんどの菌は生きたまま腸に届くことはありません。(お味噌汁作るときはそもそもみそをお湯に溶かしますしね・・・。)

ですが、腸内環境の改善などに効果があると言われていますよね。先ほど生きたまま腸に届く菌の働きをプロバイオテクスと言うと言いましたが、生きたまま腸に届かない菌やその菌の産生物の事をバイオジェニックスと言い、その効果には次のようなものがあります。

  1. 生体調節
  2. 生体防御
  3. 疾病予防・回復
  4. 老化制御
これらは、生きたまま腸に届かなかった菌やその産生物により腸内フローラの改善が起こることにより現れる効果です。みそで言うと、大豆を麹菌によりアミノ酸や糖に分解し、それが腸まで届くと善玉菌を増やしたり、老廃物の排出を促したりします。その結果として、免疫賦活、コレステロール低下作用、血圧降下作用、整腸作用、抗腫瘍効果、抗血栓、造血作用などなどの体に良いことが起こるのです。直接腸で働くプロバイオテクスの菌とは違いすぐに効果は表れませんが、じわじわと縁の下の力もちとして我々の健康に良い効果をもたらしているのです。

バイオジェニックスとは、腸内細菌研究の第一人者である光岡博士により、直接、あるいは腸内フローラを介して、生体調節、生体防御、疾病予防・回復、老化制御等に働く食品成分と定義されています。

発酵食品とは

最後に発酵食品についてお話したいと思います。発酵食品とは、微生物が食品のたんぱく質や糖質を分解して生成される食品のことを言います。冷蔵庫などなかった大昔から、食品を保存したり、食べやすい様に加工する目的で作られてきました。主な発酵食品と言えば、当社も製造している味噌、甘酒をはじめ、醤油、ヨーグルト、お酒、チーズなどがあります。あまりピンと来ないかもしれませんが、鰹節も発酵食品なんです。味噌は麹菌が原料の大豆のたんぱく質を、ヨーグルトは乳酸菌が牛乳の糖類を分解して生成されています。お酒は麹菌が米の炭水化物を分解し、そこから生成した糖類を酵母が分解して生成されています。このように微生物が分解してくれているので、私たちの体にも吸収しやすい優しい食品なのです。

この様に説明すると同じように食品が微生物により腐るのと発酵は何が違うの?とよく言われますが、実は反応そのものには違いはありません。極端なことを言ってしまうと、体に良いか(美味しいか)悪いか(まずい・くさい)というだけの違いです。ヒトは本能的に酸っぱい、くさい、苦いという感覚でこの食べ物は傷んでいると判断します。発酵食品を子供や食べ慣れていない人が嫌がることが多いのもこれが関係しています。食事体験により培われるおいしさなんです。最近では海外の人も日本食への理解や体験が深まり、おいしく召し上がってくれる人が増えていますよね。

まとめ

いかがでしたか。

  • みそも生みそも栄養成分的には変わりがない。
  • 香を重視するなら生みそ(ただし管理に繊細な注意が必要)
  • みそも生みそもバイオジェニックスとしての働きがある。
  • 発酵食品の中には生きたまま腸に届くプロバイオテクスの働きをする菌もいる。
  • 生きたままでも、そうでなくても体に嬉しいことがいっぱいある。

最後に、みそと生みそはどちらも腸内環境を改善してくれる発酵食品です。「生きた菌」が腸まで届くことはありませんが、バイオジェニックスの作用で、体には嬉しい効果がたくさんあります。生きたまま腸に届く菌も、届かない菌も定期的に摂る必要があります。でないと定期的に老廃物と共に排出されてしまいますから。「絶対に・・・」なんて気負う必要はありません。いろんなものをバランスよく取り入れて日々の食事を楽しんで頂けたら幸いです。
水滴画像みそに入っている酒精とは?量と安全性についてもわかりやすく解説

2 Comments

rikejyo-no-oneisan

佐藤 様

この度は当社のホームページを閲覧頂き、コメントをお寄せ頂きまして大変ありがとうございます。
今後もご意見、ご感想、疑問に思うことなどございましたらどうぞ気軽にコメント頂けましたら幸いです。
現在は、感染症流行によりご不便な事も多々あると思いますが、お体にお気を付けてお過ごしください。

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