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今回はよくお問い合わせ頂く商品の中から紅麴についてお話ししたいと思います。
この「紅麹」というのは、近年健康食品として注目を浴びている麹なのですが、実は古くから漢方薬として使われているものなんです。日本では天然の着色料として使われています。ですが、活きた「紅麴」はとっても扱いが難しく、通常の「麹」の様に、味噌や甘酒を作るのはご家庭ではほぼ無理です。一般向けの流通もほとんどありません。
それでも「紅麹」の健康に有効な成分である「GABA」や「モナコリン」を活用したいお客様はたくさんおられます。そこでご家庭でも使いやすい当社の「ベニコウジ粒GABA」「ベニコウジ粉末GABA」「ベニコウジ粉末モナコリン」という商品が生まれました。漢方薬に使われるということもあり、薬膳の考え方を応用すると使い方や理解につながると思い、調べてみました。宜しければ参考にしてみてください。
中医学と薬膳
まずは薬膳を知る為に重要な中医学やそれに基づく薬膳の考え方についてお話していきたいと思います。
中医学とは
中医学は、二千年以上に渡る豊富な臨床経験を持った中国の伝統医学です。よく東洋医学と混同しがちですが、こちらは中国だけでなくインドやチベットの医学も含まれるため少し認識に違いがあります。中医学は「体のバランスを整える」ことを軸とし、病気になる前の「未病」という状態にも注目していて、西洋医学と異なり、予防医学の先駆けとも言える考え方があります。中医学はからだ全体を一つのシステムとして考えており、「気・血・水(津液)」という基本物質があり、この調和を保つ事が最も重要な事だと考えられています。
気血水
中医学では私たちの身体は、「気」、「血」、「水」がバランスよく体を巡っている状態が健康で、それぞれが不足している状態を「気虚」「気滞」「血虚」、滞っている状態を「お血」「陰虚」「痰湿」といいそれぞれに合った対処をします。
気
「気」とは人が生きていくために必要な活動を支えるエネルギーの事で、不足している状態を「気虚」、滞っている状態を「気滞」と言います。
血
「血」とは脈の中を運行して内臓や各組織に必要な栄養分を与えるもので、不足している状態を「血虚」、滞っている状態を「お血」と言います。
水(律液)
「水(津液)」とは体内の水分の事で、体内を循環して体温調節や関節の働きを滑らかにしたりするもので、不足している状態を「陰虚」、滞っている状態を「痰湿」と言います。
分かりやすくまとめると次の表の様になります。
不足している場合 | 滞っている場合 | ||
気 | 体質 | 気虚 | 気滞 |
特徴 | 気力がわかない | ストレスを感じやすい | |
症状 | ・だるい ・疲れやすい ・汗をかきやすい ・動くと症状が悪化する |
・お腹が張る ・ガス、げっぷ、ため息がでる ・喉が詰まった感じがする ・便秘と下痢を繰り返す |
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血 | 体質 | 血虚 | お血 |
特徴 | 顔色が青白く艶がない | 唇の色が暗い | |
症状 | ・不安症 ・もの忘れしやすい ・髪の毛がパサつく ・貧血ぎみ |
・顔色がくすみ、シミ、そばかすが多い ・生理痛がひどい ・慢性的な肩こり、頭痛がある ・アザができやすい |
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水
(津液) |
体質 | 陰虚 | 痰湿 |
特徴 | 体の中や外が乾燥している | 血中コレステロール、中性脂肪、体脂肪率が高め | |
症状 | ・肌がカサカサする ・便秘またはコロコロ便が出る ・口や喉が渇いて、冷たいものを欲しがる ・手足のほてりや夕方に微熱が出る |
・肥満気味 ・肌が脂っぽく、吹き出物ができやすい ・痰や唾がよく出る ・体がだるくむくみやすい |
薬膳とは
薬膳とは、中医学の理論に基づき、誰が、何を、何のために食べるのかを重要視し、健康で楽しい暮らしを得るための食事を実践するために作られる料理です。薬膳と言うと美味しくない「薬」の様なスープやお粥が思い浮かびますが美味しく食べる事も大切にしている料理でもあるのです。薬膳を考えるには「陰と陽」「五行」「五性」「五味」・・・といった重要な考え方を理解する必要があります。どの考えも奥深く簡単に理解することは容易ではありませんが、大まかに抜粋してまとめたのが次になります。
*奥深いですので「へ~・・・そうなんだ~・・・」ぐらいの感じで見てやってください。
陰と陽
「陰と陽」とは、もともと月と太陽のことで、相反する関係を指しています。これは、「夜と昼」や、「下と上」、「寒い暑い」といった関係にも当てはまっています。漢方ではこの「陰と陽」のバランスが取れている状態を良しとしています。食物もこのルールによって分けられ、体を冷やす物を陰、体を温める物を陽と考え、体に合う食材を組み合わせるときの大きなポイントになります。
五行
古代中国の人々は自然界のあらゆるものを「木・火・土・金・水」の5つの性質に結び付けて分類したものを五行と呼び、季節、色、味、体の臓器などもこれにより分類しています。この五行の間には、お互いその力を「促進する関係(相生)」と「抑える関係(相克)」があり、それぞれに助け合ったり、抑制し合いながらバランスをとっています。
五性
食べ物を五行の性質に従い「熱性・温性・平性・涼性・寒性」の5つに分類した物が五性です。

- 熱性:体を温め、興奮作用があり、貧血、冷え性に効果。
- 温性:熱を弱くした性質。冷え性の人に効果。
- 平性:寒熱どちらでもなく、日常食べるもの。常用すれば滋養・強壮効果。
- 涼性:寒を弱くした性質。のぼせ症の人に効果。
- 寒性:体を冷やし、鎮静、消炎作用、高血圧に効果。
五味
食材を食べた時の味覚によって、その味が体にどのように働くのかを「酸味(渋味)・苦味・甘味・辛味・鹹味」という5つの味に分類したものです。伝統的には五味なのですが、「淡性」を加えた6つの味に分類する事もあり、六味と呼ばれることもあります。
- 酸味:肝臓の働きを整える。
- 苦味:心臓の働きを高め解毒作用や炎症を静める。
- 甘味:消化器の働きを整える。滋養強壮作用。
- 辛味:肺・大腸・鼻に良い。発散作用があり、循環を良くする。
- 鹹味:腎臓・膀胱・耳・骨に良い。体をうるおす。

熱性・温性 | 平性 | 涼性・寒性 | |
酸味 | 杏・ザクロ・サンザシ・桃・ブリ・バター・酢 | 小豆・スモモ・ブドウ・苺・リンゴ・レモン・ヨーグルト | トマト・キウイ・梨・ビワ・ミカン・柚子 |
苦味 | もち米・かぶ・シソ・パセリ・うど・フキ・つくし・豚レバー・紅茶 | 銀杏・牛レバー・グレープフルーツ | ワラビ・ゴボウ・ミョウガ・セロリ・レンコン |
甘味 | 玄米・カボチャ・ザクロ・栗・胡桃・ナツメ・サクランボ・桃・穴子・鰯・鮪・鮭・ナマコ・牛肉・鶏肉・チーズ・酒・甘酒*紅麹はここ!! | キビ・トウモロコシ・大豆・湯葉・黒豆・ピーナッツ・ゴマ・ジャガイモ・人参・ブロッコリー・牡蠣・鯉・鯵・秋刀魚・牛乳・蜂蜜 | 小麦・ハト麦・キュウリ・スイカ・ヘチマ・ゼンマイ・筍・ナス・ほうれん草・柿・バナナ・タコ・ハマグリ・スッポン・ゴマ油・ナタネ油 |
辛味 | 小松菜・ピーマン・葱・ラッキョウ・コショウ・ワサビ・ザーサイ・ニンニク | 里芋・春菊・玉葱・アワビ | ゴボウ・コンニャク・大根 |
鹹味 | 栗・鰯・ナマコ・海老 | クラゲ・イカ・ニシン・ひじき・豚ハツ・豚レバー | アワ・昆布・ワカメ・海苔・アサリ・シジミ・ピータン・醤油・味噌 |
帰経
帰経とは食材や生薬が身体のどの部分に影響があるかを示したもので、影響のある主な部分というのが、「五臓六腑に・・・」でおなじみの、「肝・心・脾・肺・腎」の「五臓」と「胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦」の「六腑」になります。私たちが良く知る体の臓器名に似ていますが、単なる名前ではなく、臓器の働きによって生じる、様々な現象も含んだ呼び方なのです。
- 五臓:「肝・心・脾・肺・腎」の5つを指し、中身が満ちた器官で、気血、津液、精気などをつくり貯蓄する
- 六腑:「胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦」の6つ。管状の器官で、物質を転化する。主に食べ物を消化・転化し、排泄する。
「三焦」とは聞きなれない言葉ですが、これは特定の器官を指す言葉ではありません。「上焦」「中焦」「下焦」に分かれていて「上焦」は横隔膜から上の胸部を「中焦」は横隔膜からへその間の腹部を、「下焦」は胃以下の部位を指します。この3つを合わせて「三焦」と呼び人体のある部位と内臓の生理機能や病理変化を総合的に表したものです。
ちなみに、ここには体にとって重要な働きをする臓器である「すい臓」は含まれていません。これは中医学の考え方で「五臓六腑」が臓器そのものを指す言葉ではない事や「すい臓」の位置が見えにくい場所にある為とも言われています。
薬膳としての紅麴
薬膳について理解を深めるためにいろいろとお話してきましたが、紅麹については具体的に考えると次のようになります。
五行 | 五性 | 五味 | 帰経 | |
紅麹 | 木 | 温性 | 甘味 | 脾・胃 |
味噌 | 水 | 寒性 | 鹹味 | 大腸・胃 |
甘酒 | 火 | 温性 | 甘味 | 脾・胃・肺 |
「紅麹」と「味噌」「甘酒」の関係は薬膳的にみると「相性(促進する関係)」の様なので良さそうです。(資料にもよりますので「へ~」って感じでご覧ください。)
当社では、紅麹に関連した商品として、紅麹×みその「紅糀みそ」、紅麹×甘酒の「紅麹あまざけ」という商品があります。これに関して、薬膳としての関係を考えてみました。
(食品には様々な側面がある為、ここに記載した内容には諸説あります。温かい目でご覧ください。)
「紅麹」は薬膳的には「体を温めて胃腸を助ける」効果があると考えられていますが、実際に「血圧」や「コレステロール値」に作用すると言われている「GABA」や「モナコリン」といった生成物を作る事が分かっています。
「味噌」は薬膳的に「高血圧の予防」や「コレステロールの抑制と排泄」に効果があると考えられていますので、当社の「紅糀みそ」は最強の組み合わせであると言えそうです。
「甘酒」は「栄養補給」や「血行促進」、「便秘解消」、「心を落ち着ける」といった効果があると考えられ、「紅麹あまざけ」は直接的には難しそうですが、血圧が高い人は心を落ち着けると良いですし、お通じが良くなると体の老廃物が排出されますので、間接的に「血圧」や「コレステロール値」に良い働きがあると言えそうです。
薬膳の考え方では、食材の組み合わせのみならず、調理法によっても効果が変わってきます。どんな体質の人がどんなものをどの様に調理して食べるのかも重要で、正解は人それぞれです。
そんな事も踏まえて「紅麹」の使い方のヒントにして頂けたらと思います。
まとめ
「紅麹」は私たち日本人が古くから馴染みのある「麹」の一種ではあるのですが、使われている地域や使い方が非常に限定的で、いざ使ってみようと思っても意外と難しいですよね。
お客様からも「買ったはいいけど使い方が・・・」というお問い合わせは多々あります。当社の紅麹に関してよく聞かれる質問についてQ&A形式で挙げてみましたので参考にしてください。
紅麹に関するQ&A
Q1.高温で熱してはダメですか?
A1.大丈夫です!
当社のベニコウジは紅麹が生成する「GABA」と「モナコリン」に選別した商品です。この質問をされる方は「麹」が生き物である事を良く理解されています。通常販売されている「麹」であれば60℃を超えて加熱すると死んでしまう為、ダメなのですが、その生成物である「GABA」や「モナコリン」は高温に耐えられる為、大丈夫なんです。ですので、何も気にせず調理に使ってください。お米に由来していますので、加熱する方が美味しく食べられます。
「GABA」や「モナコリン」が気になる方はこちらもご覧ください。
Q2.どのくらい食べたらいいですか?
A2.はじめはスプーン1杯(3g程)から試してください。
この「紅麹」という商品は「GABA」「モナコリン」といった種類、「粉末」「粒」といった形体に関わらず、独特の強い香りがあります。苦手な方もおられます。まずはスプーン1杯からお試しください。この商品はあくまで食品ですので、どのくらい食べれば、どの程度効果があるかという事は保証できません。しかし多くの健康食品がそうであるように、継続して食べる事に意味があります。無理のない範囲で継続してお使いください。(何日か間が空いても気にしない!コツコツが大切です!)
毎日忘れずに摂りたい方には味噌汁がおすすめです。自分の分だけの方は「粉末」をお好みで入れてください。家族みんなでという方は当社の「紅糀みそ」という商品をお買い上げ頂くとお手軽ですよ。
Q3.どのように使えば良いですか?
A3.使い方は自由です。
そのまま食べるのは流石におすすめしませんが、特に嫌でなければ色々な料理にお使いください。
よく当社でおすすめするのは「紅麹ごはん」です。これは、普段ご飯を炊くときにお好みの紅麹を加えて炊いて頂くだけで簡単にできます。これはどの種類をお使い頂いても構いません。仕上がりの色などに若干の違いがあるだけです。またお米由来なので相性も抜群ですよ。
他には出来立ての味噌汁や甘酒に直接加えて頂くのも◎こちらの使い方をお考えの方は必ず「粉末」をご利用ください。(溶けないので・・・)「粒」をお使いの場合はご使用前に1~2時間程少量の水でかしてからお使いください。
当社では、味噌や甘酒に紅麹を加えて仕立てた「紅糀みそ」や「紅麴あまざけ」もございます。家族みんなで美味しく召し上がりたい方はこちらの商品もお試しください。
その他には、天ぷらの衣に加えたり、コーヒーに入れたり、ホットケーキミックスに加えてピンクのホットケーキを作ったりとアイデア次第で使い方は無限です。
数少ない紅麹を使ったレシピが気になる方はこちらもご覧ください。
非公開: 【レシピ】かわいくて健康にも良い!!ベニコージde春色カップケーキ
最後に
ここ数年で注目を集めている「紅麹」ですが、まだまだ神秘に満ちた不思議な食材です。よく分からないからこそ怪しげな情報も多々あります。
皆様の不安に少しでも答えたくて今回このように長い記事を書かせて頂きましたが、はっきりと有益な情報はあまり見つける事が出来ませんでした。
当社の「紅麹」商品は、岡山県工業技術センターと地場企業数社が共同研究の末、開発に至った商品で、お客様には安心して召し上がって頂けると自負しておりますが、副作用などを不安に感じている方がおられることは十二分に理解しています。
当社で扱っている「紅麹」に関しては副作用はその他の食品と同じだとお考え下さい。どんな食品でもアレルギーを起こしたり、体調を崩す方は一定数おられます。不安がある方は、お召し上がり前にかかりつけの医師にご相談ください。
今回の記事が少しでも皆様の安心につながりましたら幸いです。
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