こんにちは。岡山のみそ屋、馬場商店です。
朝晩はまだ涼しいですが、だんだんと昼間は暑くなってきましたね。こんな寒暖の差が激しい季節が一番体を壊しやすいんです。感染症も落ち着いてきたと思ったら熱中症のニュースがチラホラ聞かれています。こういった時、頼れるのが実はお味噌汁なんです。普段塩分が気になってお味噌汁は控えている方や、日本人の食が洋食化してきてお味噌汁はちょっと・・・なんてみそ屋には悲しい話も聞きますが、お味噌の秘めたパワーを熱中症対策の一環として聞いて頂けたらと思います。
お味噌に塩が必要な訳
お味噌の材料は米、大豆、塩が一般的ですが、もちろんお味噌の塩分と材料の塩には大きな関係があります。お味噌の塩分濃度は熟成期間が長い物ほど高い傾向があります。これは、味噌の保存に塩が大きく関わっているからなんです。食品中の雑菌は栄養と温度と水分の条件が整うことで爆発的に増えます。そうすると食品は時間が経つごとにどんどん腐っていきます。その為、食品の保存には雑菌の繁殖条件が揃わないようにしていくことが大切なんです。
そこで考えられたのが漬物などにも利用されている「塩漬け」です。高い塩分濃度であればあるほど、食品の水分量(水分活性)が低く保たれ、雑菌の繁殖を抑制します。その為、八丁味噌などに代表される長熟のお味噌は材料の塩の量が多くなります。これは、味噌が本来、保存食品であるからなんです。今の様に交通の便も良くなく、冷蔵庫など食品の鮮度を保つことが難しかった時代、食品を長期保存する為に考えられた知恵なんです。
お味噌汁と熱中症予防の美味しい関係
さて、お味噌に塩は欠かせないことをお話ししましたが、熱中症予防にお味噌汁がどう関係するのか詳しくお話したいと思います。
熱中症とは
熱中症は、少し前まで、日射病などとも言われていましたが、日射病も熱中症の一種なんです。熱中症というのは、高温多湿な環境の変化に体がついていけず、様々な不調を起こす症状で、めまいや顔のほてり、頭痛、筋肉痛やけいれん、最後には意識障害を起こし命を落とすこともある大変危険なものです。じわじわと気づかないうちに症状が進行してしまうことも多く、急に倒れてそのまま命を落としてしまうケースも少なくありません。
お味噌汁で熱中症予防
実は侮れない、熱中症ですが、十分な水分補給や体調管理により予防することができます。熱中症を起こしやすい条件としては水分不足や体調不良があげられますね。体調不良というのは寝不足や二日酔い、病後の回復期などの状態で、こんな時は特に注意が必要です。(もちろん病気の時は要注意ですが・・・)
そして、予防としてよく言われているのがこまめな水分補給。しかしながらただ水分を摂れば良いということではありません。水分補給にコーヒーを飲んだりする方がおられますが、これは逆効果なんです。コーヒーの様にカフェインの多い飲み物は利尿効果が高い為、余計水分を体から排出しやすくしてしまうんです。また、水だけを飲んでいる方も注意が必要です。私たちは汗や尿により体外に水分を排出していますが、これは単に体の水分を外に出している訳ではありません。体外に水分を排出する為には、ナトリウムイオンというイオンもたくさん使っています。(イオンが含まれているので汗ってしょっぱいんです。)ですから体の水分が減ると同時に、ナトリウムイオンも減っていきます。このイオンというのが実は体内では非常に重要で、体の生命活動に大きく関わっています。特に身体の水分量や浸透圧の調節に関わるナトリウムイオンを補給しないと、水分を摂っていても熱中症になってしまいます。
つまり、材料に塩を使っているお味噌でできたお味噌汁には熱中症予防に必要なナトリウムイオンが豊富に含まれているんです。さらに、お味噌汁には、栄養満点の具材やたっぷりの水も入っています。お味噌汁を食事に1品つけるだけで、十分な水分補給と弱った体への栄養補給の2つができるというわけです。まさに熱中症予防とお味噌汁は美味しい関係ですね。スポーツ飲料が苦手な方や作業の内容によりこまめな水分補給が難しいという方は習慣にしてみるといいと思います。
やっぱりお味噌汁の塩分が気になる
熱中症予防にお味噌汁が効果的というお話をしましたが、病気などで塩分の摂取を控えるよう指導されていたり、気にしている人も多いですね。最近の食品には塩分が多いものも多いので、気をつけなければいけません。成人の塩分の適正摂取量は約6~8gぐらいと言われていますが様々な食品に塩分は多く含まれています。私たちの食卓はどんどん豊かになっていて、好きなものをたくさん食べられるようになりました。それ故に、塩分の摂取量も多めな方が増えています。お味噌も塩分の多い食品として有名ですが、お味噌1杯の塩分量は1.2g程です。ほかの食品からも塩分を摂ることを考えると多い数字かもしれませんが、お味噌汁の塩分が体内へ吸収される量は、カリウムや食物繊維の多い食品(いも類、緑黄色野菜、海藻、きのこなど)と摂ることで減らすことができます。ぜひ、具材にもこだわって見てください。また、塩分の少ない白みそにお味噌を変えるという方法もあります。(一般的に味噌の塩分は長熟のお味噌は15%を超え、平均的な色味噌は12%前後、白味噌は6%程です)とは言っても、やはり飲み過ぎは良くありません。朝食に1杯が理想です。(寝ている間に人はすごく汗をかきますので・・・)バランスの良い食生活を心掛けてほしいと思います。
洋食とお味噌汁
最近は、ライフスタイルの変化に伴い食生活も変化しています。その結果、お米を食べなくなったりお味噌汁を飲まなくなったりしている人も増えています。みそ屋としては悲しい限りです。
みなさん、お味噌汁って和食の時しか作ってはいけないと思い込んでませんか?洋食にお味噌汁なんて・・・と思うことなかれ!デミグラスソースのオムライスにコンソメスープにサラダ・・・美味しそうなランチですがよく考えてみてほしいんです。カロリー高くないですか?ちょっとこってり過ぎませんか?いやいやこれが良い!!という方もいらっしゃると思いますが、胃腸の弱い人だと、豪華すぎて最後まで食べれません。(実は私ですけどね・・・( ノД`)シクシク…)
お店のメニューは雰囲気も大切ですが、おうちごはんは時短と栄養バランスが大事!!よく、今日は洋食でと張り切ってみると、なんかこってりで味も似通ってたりします。こんな時、スープをお味噌汁にするとぐっとバランスが良くなりますし、味噌汁で口直しもできます。野菜足りないなぁ~と思えばお味噌汁の具を野菜たっぷりにもできます。なにせお味噌汁には難しい技術は不要です。具材を煮込んで味噌で味付けする。これだけで味が決まる超時短メニューなんです。最近ではお味噌汁の具材も食生活の変化に合わせて変わってきています。夏にこそおすすめ!手作りインスタント味噌汁が作れる「味噌丸」の作り方と洋風のお味噌汁を2品ほど紹介したいと思います。
【手作りインスタント味噌汁の素】味噌丸
材料(10杯分)
・お好みの味噌
約200g
(1個分がだいたい15~20g程)
・かつお節やいり粉などのお出汁の素
約30g
(1個分が約小さじ1ぐらい)
*かつお節は炒ったものを使った方が美味しいです。顆粒だしの素を使いたい時はお湯を注ぐ直前に入れた方が良いです。(保存しているうちに味がぼけてくるので)
・お好みの具材
お好みで(乾燥わかめ、ネギ、麩など)
・ラップ
・マスキングテープ
作り方
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- ラップを広げ、その上に味噌や出汁の素、具材を置く。
- てるてる坊主を作るように丸めて、口をマスキングテープで止めて出来上がり。
食べたいときにお椀に入れてお湯を注ぐとお味噌汁になります。濃さはお湯の量で調整してください。タッパなどに入れて冷蔵庫での保存は1週間程、冷凍では1か月程が目安です。みなさんのご家庭でいつも使っている好きなお味噌で作ってみてください。具材に切干大根を入れると良い出汁が出て美味しいのでおすすめです。可愛らしいので、ランチのお供にも◎
【夏におすすめ】焼きナスとアボカドの味噌汁
材料(2杯分)
・焼きナス 1本分
・アボカド 1/2個
・お湯 2カップ程
*お好みで調整してください。
・割烹白みその味噌丸 2個
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- 焼きナスを3等分くらいに切る。アボカドは大きめのひと口大に切る。ともにお椀に盛る。
- 具材を盛ったお椀に味噌丸を入れる。
- 上からお湯を注いで出来上がり。
焼きナスはもう調理済みですし、アボカドも生で食べれるので、お鍋いらずです。夏の昼間に火なんて使いたくない・・・という時おすすめです。今回の味噌丸はシンプルに割烹白みそといり粉、飾りでサクラエビを添えましたが、お好みの味噌、出汁でアレンジして楽しんでください。
【冬におすすめ】バター香る洋風豚汁
材料(2杯分)
・ジャガイモ 1/2個分
*サツマイモでも〇
・お好みのきのこ 1/4株ぐらい
*今回はエノキにしてみました。
・ベーコン 1枚
・出汁 2カップ
・紅糀みそ 35~40g
・バター 10g
*一切れぐらい
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- ジャガイモを食べやすい大きさに切り。きのこは石づきをとり食べやすい大きさに、ベーコンは1センチ幅ぐらいに切る。
- 熱した鍋にバターを敷き、1の具材を炒める。
- 2に出汁を加え具材に火を通す。
- 火を止めて味噌を溶かし、器によそって出来上がり。
バターと味噌の相性がばっちりで体が温まります。レシピの洋風豚汁はシンプルな材料のものをご紹介しましたが、ニンジンやダイコンなど好きな具材が入っても美味しいです。
最後に
最後にお味噌汁と熱中症予防の美味しい関係をまとめてみました。
- お味噌の塩分は保存に欠かせない先人の知恵
- お味噌汁1杯で熱中症予防ができる
- お味噌汁の塩分が気になる方はいも類、緑黄色野菜、海藻、きのこ類などの具材にしよう
- 新しい具材のお味噌汁で洋食とのバランスが取れる
いかがでしたでしょうか。難しい事もたくさん書いてしまいましたが、お味噌汁って気楽で体にも良い物なんだなぁと少しでも思ってもらえたら幸いです。
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